6月 17, 2019 31日

十日目

マヤ「これは、5677センチですね」
「あ、ありがとうございます」
マヤ「大丈夫ですよ。こういうことやる側ですから」
そう言って手を振るのは、マヤ。政府から派遣されてきた、管理局の人だそうだ。
「5677センチだってよ。莉菜」
莉菜「えへへ、どんどん高くなったね」
今の私は校舎より二倍以上高く、校舎なんて股さえ届かない。今私がこんなに大きくなったね。
「それにしても、すごいな。気圧差で高さを測るなんて」
無人飛行機みたいな機械を空に飛ばせて、そして私の頭上まで辿って、それだけで高さがわかるらしい。その無人飛行機でも地面から頭上までは結構時間がかかるけど。それほど私が高いってわけね。
マヤ「ほかの人たちが思い付いたことですからね。人が多い方が解決策も見つかりやすいです」
「そうだな。やはり政府に頼るのはよかった」
なんかすごい機械を使って身長を測ってくれたらしい、どういう仕組みかはわからないけど。
マヤ「家もすぐに建て終わりますので。多分明日完成します。その時は住所を教えますから」
莉菜「明日は家?やった!」
嬉しく跳ねると、地面が軽く揺れたらしく、お兄ちゃんはバランスを保てるよう両手を広げた。
莉菜「あ、お兄ちゃん、ごめんなさい」
「ま、気にしてないよ。やはり莉菜はすごいな」
莉菜「あはは。そんな褒めると嬉しい」
「それにしても、マヤさん。早いですね。本当にありがとうございます。ほら、莉菜も」
莉菜「ありがとうございます」
マヤ「どういたしまして。じゃあ私行きますからね」
「もう行くの?」
マヤ「私はただ身長を測りに来ましたから。ほかのことはあまり干渉しないつもりです」
こっちとしては
「そうか。じゃあまた」
マヤ「はい。また明日」
遠退いていくマヤを見送る。
莉菜「マヤさん、行っちゃったね」
「あ、あまり干渉しないらしいって。それに明日は家も完成するらしいって」
莉菜「そっか!お兄ちゃんとの新しい家か。楽しそう」
「俺も楽しみだな」
それからの連絡がきて、今晩で家が住めるようになったと、本当に早いと思った。住めるところができたよりも、お兄ちゃんと二人の家の方が嬉しかった。

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