6月 12, 2019 31日

五日目

いつもみたいに莉菜を起こしに行く。
部屋に入ると、一目で分かるほど莉菜は成長した。2目メートルのベッドの端まで足が伸びて、余った部分に膝がまげて、地面に足がついている。
それだというのに、頭の方は枕の上だった。別に寝相が悪いでもなく。ただ高いだけだ。
今はもうどれくらいだろう。
「莉菜、起きて、朝だよ」
莉菜「ん?お兄ちゃん?」
「そうよ、早くおきっ、うぅ」
目を半開きした莉菜は手を伸ばしてきたかと思うと、俺の首を掴んで、そして引いたら、頭がそのたわわな胸に入る。シャツのボタンも開けて、顔面がその生乳に埋もれてしまう。
「う、うぐ!」
昨日はまだKカップだが今は多分それ以上で、顔を覆うように息ができなった。手で強く押そうともびくともしない。その華奢な腕にどこから湧いてきた力だろう。
莉菜「えへへ、お兄ちゃん~」
「離せ、おい、莉菜」
暴れて解けてもらおうとしてつい足が莉菜にぶつかってしまった。
「あ、ごめん…」
一瞬遅れて俺は何かおかしいと気づいた。
俺の足の指が莉菜にぶつかってしまった。けど、俺は別に体を曲げていない。そのうえで、俺の頭は莉菜の胸のところ、それはつまり。
莉菜はもう俺より頭一つ分大きいのか。
「おい、莉菜、早く起きて、お兄ちゃん死んじゃうから」
莉菜「ああ、お兄ちゃん?ごめんなさい」
やっと聞いてくれて莉菜から解放されて、そして莉菜はベッドから起き上がる、俺も起き上がった。
横を見れば莉菜は俺と同じくらい高い目線だ。なんだ、まだ同じくらいか。ほっとしたような感じがした。けど、もう280メートルになったのも充分高いよな。だって莉菜はまだ4歳しかいないし。俺が4歳の時はまだ普通の子供よりちょっぴり大きいくらいでせいぜい110センチだった。それを莉菜はもう二倍より伸びていた。
「起きたか。ていうかそのシャツのボタンとめろよ」
莉菜「ええ。それじゃあ服が窮屈だよ」
そう言って胸をしたから支えるように見せてくれた。お、大きい…こんなに大きいのテレビくらいでしかみたことがない。
「せ、せめてなにかほかの着てちょっと隠れろって」
莉菜「もう、お兄ちゃんが見たいならいっぱい見せるのに、ほら」
まだ抱き着いてきた、強制的に首を曲げられ頭が胸に埋もれた。
「もう、だからもうやめろ」
なんども手で押しのけようとも、どういうわけか全然動けない。それでも莉菜はちゃんと話してくれるのはありがたい。
「はやく起きてよ、ご飯はもうできたから」
莉菜「はい!」
俺がベッドから降りると、莉菜も続いて降りてきた。
莉菜「いったい!」
「え?どうしたの?」
振り向いてみると、俺がすれすれだった天井を莉菜は思い切ってぶつかってしまって。かがめて頭を抱える。
もう天井に届いた?そんな馬鹿な。
もしかしてベッドの上に立ってると思ったが、見下ろすと俺は理解した。莉菜の足は俺より長く、すらすら伸びた足は、ほどいい肉付きで、美しかった。
そして、上半身は多分俺と同じくらいだから、莉菜はすでに、俺より高いのか。
さっきまでほっとしたのに、言いしれない恐怖を覚えた。いや、これは恐怖だろうか。
莉菜「もう、天井低すぎたよ。あれ、私まだ伸びた?お兄ちゃん測ってみて。あ、お兄ちゃん、お兄ちゃんは天井にぶつかったことがないのか?」
「あ…」
莉菜「そっか、私、もうお兄ちゃんより高くなったか、えへへ」
俺の前で首を曲げながら見てくる莉菜に、俺はもう越されたことを確信した。
この家は二階建てで、そして吹き抜けもついてある。そこなら天井は高いし、莉菜に壁で立ってもらう。
莉菜「あ、こうやってみると私、本当にお兄ちゃんより高いね」
「そ…そうだな」
莉菜は手を俺の頭に置いて、自分の方に移った、それは首のところに届く。
壁に背を向けて直立する莉菜に、確かに、俺より頭一つ分高かった。
莉菜「お兄ちゃん、測って、測って」
「はいはい」
ここで測ったことがないからメジャーで地面から伸びて測ってみた。
「え、ええ⁉︎」
莉菜「どうしたのお兄ちゃん」
「メジャーが足りない…」
このメジャーは3メートルだけど、手を挙げてメジャーが切れても莉菜はそれより少し高い。
莉菜「私、こんなに高くなったの?」
「あ…じゃあ今回は」
定規で最後のところを補って測った。
「303センチ、75センチも伸びたな」
莉菜「えへへ、私、お兄ちゃんより高くなったな」
まだ頭を掴んで胸に埋もれた。
「もう、莉菜ったら」
この時になって、俺はずっと抱えている感情は恐怖ではないと悟った。

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