7月 09, 2019 31日

二十八日目

莉菜「たて座UY星も超えちゃったね」
目の前にいるたて座UY星を見つめる。それはもう5倍の大きさではなく。いつものように、子供と大人の差だ。
「あ、莉菜が宇宙で一番大きいもの、何よりも大きい人になったよ」
莉菜「私が、宇宙で一番大きい人になった」
四週間前に、私は同年代の子よりもずっと低い女の子だったが、今は何万年も生きている星よりも大きくなった。星に寿命も成長もないが。
私が生活している地球も、見えないほどに小さかった。太陽なら、もう私の乳首よりずっと小さいよね。
「今の身長は2,426,769,978km。0.00025光年くらいか」
莉菜「光年、はなんなの?」
「それは長さを意味するよ。光が一年で駆け抜ける距離」
莉菜「そっか。すごい。光はこんなにも飛べるのか」
「こんなに大きい莉菜なのに、まだ光にはほど遠いと感じられるよ」
莉菜「光が私の体の底からてっぺんまで一年もかけるなんて、想像もつかないね」
「そうだな。どれだけ莉菜が大きいと、まるで現実味がない話だ」
莉菜「けど、私はまだ成長するよ」
「うん。楽しみだね、莉菜の成長」
莉菜「えへへ、いつかそうなれるといいね」

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