6月 23, 2019 31日

十五日目

莉菜「お兄ちゃん、ここから富士山が見えるよ」
「え、マジ?」
莉菜「うん、ほら」
莉菜の手に摘まれて、上空から見渡すと、確かに富士山があった。それに頂上も見えて、多分ここは富士山より高い。
「本当だ。てことは、莉菜はもう富士山より高いのか」
莉菜「そうかな」
よく考えればそれもそうか、昨日は2km超えたから、3776メートルの富士山を追い越すのもすぐのこと。
「じゃあマヤさんに測ってもらうね」
莉菜「うん!」
それからマヤが来てから測ってもらった。
マヤ「今は6527メートルです。一分で671センチくらい伸びてますね」
「もうそんなに⁉︎」
莉菜「私、一分でお兄ちゃんの身長の二倍以上も伸びたの」
「そうなるな」
莉菜「えへへ、成長がどんどん早くなるね」
見上げる莉菜は日本のどんな山よりも高かった。それもまだ伸びている。
莉菜「私、ちょっと富士山に行ってみたいな」
「ま、すぐのことだし、行って見よう」
莉菜「やった!」
それから富士山の麓に到着。上から頂上を見下ろす。
莉菜「わー、富士山ってこんなにちっちゃくなった」
「あ、本当に高いな」
何時間もかからないと到着できないその頂上を、莉菜が俺を摘めばすぐにそこに辿りつける。それに今の富士山は莉菜の股くらいの高さしかいない。
莉菜「けど、外国はもっと高い山があるよね」
「あ、一番高いエベレストは8848メートルもあるからな」
莉菜「そっか、莉菜ならすぐ追いつけるかな」
「多分だな」
6kmでもまだ伸びる莉菜は、エベレストなんてもしかするとすぐのことかもしれない。
そして、その日の夕方になる前に、莉菜はすでにエベレストより高くなった。

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