6月 14, 2019 31日

七日目

莉菜「いったい!」
なんか似たようなシチューがあった気がするけど。けど今回はそれ以上のものだった。
「もう天井に届いたのか?」
莉菜「そうみたい」
吹き抜けで、二階の高さもある天井を、莉菜はすでに届いて、それに今は屈めないと天井にぶつかってしまう状態だ。
そして莉菜は蹲ってきてできるだけ俺と同じ目線になる。だが、それでも二頭分ほど高く、見上げないといけない。
莉菜「お兄ちゃんはこんな莉菜のこと、好き?」
「うん、好きよ」
莉菜「えへへ、私もお兄ちゃんのこと大好き!」
それだけのことで、莉菜はすごく嬉しそうだ。
けど、今は先のことを考えないといけない。
「家で居続けるのは無理かもな」
莉菜「あ、そうだった」
「とりあえず、家から出よう?」
莉菜「うん!」
出ると言っても、ドアが莉菜にとって小さすぎた。だから庭につながる襖から出た。
「やはりきついのか」
それでも襖は小さいようで途中で引っかかった。
莉菜「だ、大丈夫。これなら。あ…」
どうにか出てきたものの、無理矢理出たことで襖は半壊。
莉菜「ご、ごめん…」
「大丈夫だよ。莉菜に怪我がないならそれでいいよ」
莉菜「う、うん!」
そして出てきた莉菜が立ち上がると、案の定頭の天辺はすでに屋根よりも高い位置にいた。
莉菜「私、もう家より高くなったね」
「そうだな」
莉菜「これからどうしよう?」
「俺に考えがある」
莉菜を連れて俺たちは街に出た。当然莉菜の身長は注目を浴びている。何十メートル先でもざわめきが聞こえてくる。
昔は俺が注目を浴びる方だけど、今は莉菜の方がずっと目立っているのかな。
顔立ちもスタイルはもちろん。なんと言ってもやはりその身長。一体どれくらい伸びたのか、俺も早く知りたいものだ。
それから着いた先は近所の高校だ。
莉菜「ここは、学校?」
「そうだ。もう事前に話を通してあるから。入っていいよ」
莉菜「本当?やった!」
まだ学校に入ったことがない莉菜は、わくわくした様子で周囲を見回している」
まだ入っていないというわりにはその背は高すぎて、高校生に彼女の膝に届く者すらいないみたいだけど。
「興味があるなら先に学校を回ってみる?」
莉菜「うん!」
校舎に近づき、直接二階から覗き込んだ。教室からはざわめき出す。
莉菜「あ、いっぱい人いるよ」
「そうよ、みんなここで勉強するんだ」
莉菜「幼児園と違うよね」
そしてグラウンド、朝からランニングしている人がいた。
莉菜「いっぱいの人が走ってるね」
「運動部とかの人かもな」
みんな莉菜がきたのをみると驚いて足を止めたが。
そしてバスケットコートに行って、ちょうどバスケットボールがゴールするところだった。
莉菜「あれは何?」
「バスケットボールだ」
莉菜「面白そう!」
「おい!」
俺が止めるよりも先に、莉菜がコートに駆け込んだ。みんなあっけにとられて、そして莉菜はボールを奪った。大きいだったはずのボールは莉菜にとって手頃のサイズだった。そのボールを持って莉菜はゴールに向かって。
莉菜「え、これ低すぎたよ」
俺よりやや高いゴールを蹲っても見下ろす形で、ボールをひょいとゴールに入れた。
莉菜「なんか思ってるより面白くないかな」
「まあそうかもな」
この身長でバスケットやるのはもはやチートでしかない。ほかの選手がボールを奪おうにもその膝に手が届くのは精一杯だ。
「じゃあそろそろいくか?」
莉菜「うん!」
そして俺たちが行ったのは体育館だ。街の中でも相当に大きい建物だ。主に内部が大きい。
屈めて莉菜はどうにか中に入ったけど、もしまだ成長すればどうやって出てくるのか。それは後で考えるか。
莉菜「ここで身長も測れるかな」
「俺もそのつもりだ」
莉菜「そっか!」
そして大人しく壁に背を向けて。
「ちょっと待ってね」
俺は二階まで行ってから、頭の高さに線を引いてから、100mのメジャーで測ってみた。これがあれば大丈夫だろう。さすがに100mとか成長できないよな。
「ええと、827センチ⁉︎昨日より343センチ伸びた」
莉菜「本当⁉︎えへへ」
二階に立っても莉菜は俺を見下ろす。目の前はたわわな胸がいた。やはり高いな。胸も前よりかなり育った気がした。

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