6月 08, 2019 31日

一日目

俺の妹、莉菜、それはとても可愛かった。お兄ちゃんお兄ちゃんと呼んでくれて、とても懐いてくる。顔立ちはすごく可愛くて、つるつるのほっぺた、それが俺の妹だなんて、幸せ。
そんな妹はちょっとした悩みを抱えている。それは彼女の身長。同い歳の子たちより明らかに小さい。それは多分遺伝だと思う。彼女の実の母は140センチしかいないので仕方がないと思う。それと比べて俺は今や世界一高いと言われる284センチもある長身。街で歩くと俺のへそに届く人すらあまり見かけない。どうして俺たちにはこれほどの差があるだろうか。それは俺たちは血は繋がっていない、従兄妹でだから。
そんな妹でも、俺はとても好きだ。
「莉菜、朝だよ」
莉菜「うぅ、お兄ちゃん?まだちょっと」
起こしに行くと、目をこすりながら莉菜はこっちを見てくる。
そんな可愛い顔で甘えてくるとつい甘えたくなってしまう。
「ちょっとだよ。すぐに起きるよ」
そう言っている俺だが、莉菜のベッドに腰掛けて起きるのを待っていた。
つい頭を撫でてあげたくなって、サラサラな髪を撫でる。本当に天使みたいに可愛いな。
莉菜「あ、お兄ちゃん」
それで起こしてしまったのか、莉菜はちょっと顔を赤くしながらこっちを見てくる。
「ごめんな、もうちょっと寝かせるつもりだけど」
莉菜「だ、大丈夫。もっと撫でても、いいよ」
「あ、ああ」
そんな莉菜がもっと可愛く見えて撫でるのもさらに気持ちよく思ってくる。幸せだな。
だがこれ以上すると遅刻しそうだから。俺は名残惜しいにも手を離した。
「さ、そろそろ起きるよ、遅刻しちゃうから」
莉菜「うん!」
元気いっぱいの声で、もうすっかり目が覚ました莉菜は起き上がって、ベッドから降りる。この時になって俺はあることに気づいた。
「あれ、莉菜、少し身長伸びたかな」
莉菜「ん?伸びた?本当⁉︎」
あまり言えないけど、莉菜は俺の膝のところしか届かないので、なぜ自分がそんな些細な変化に気づけるかすら分からなかった。
興奮気味の莉菜は一面の壁に向かった。そこで莉菜の身長に合わせて線が引かれている。
莉菜「お兄ちゃん早くこっちきて、背伸びしたかな」
背を壁に向けて突っ立ている莉菜はワクワクした様子で待っている。まだ距離はあるが俺は見ていた。莉菜は明らかに一番上の線よりも高い。
近くと、俺は蹲って、それでも莉菜より高いが、定規で莉菜の頭上と壁を比べた。かなり伸びたな。新たな線を引いてから、下の線との距離を測る。
「お、8センチも伸びたな」
莉菜「本当⁉︎こんなに伸びたの?」
「うん、莉菜えらいね」
8センチは結構速いと思うが、前回はいつ測っただろう。覚えていないが、驚くことでもないか。それよりも莉菜が背伸びするのは嬉しいことだ。
莉菜「お兄ちゃん!私、伸びたよ!背伸びしたよ!」
柔らかい体で嬉しそうに足に抱きついて、手はすねしか届いていないが。そんな莉菜は小さくて、可愛かった。

SHARE NOW

コメントを残す