6月 01, 2020 **日

四日目

「こんなに高かったのか…」
今朝瀬菜の身長を測ってみたところ、すでに227cmにまで届いていた。
瀬菜「227cm?えへへ、やった!」
俺から見ればまだ幾分か低い方だけで、世間ではこれが高い。
瀬菜「じゃあ外に出よう出よう!」
「あ、引っ張るなって」
身長が伸びるにつれて力もだんだんとついてきている、俺の手を掴む力も強くなっている。
それから街に出ると言ったら、なにをやるわけでもない、ただあるいていた。
それで瀬菜は街の人たちの注意を集めていた。もちろん最初は俺で、そしてすぐに側にあった瀬菜にも気づいた。高い高いと、周りからそんな声が聞こえた。ちょっと高い方の男でも、せいぜい瀬菜の胸くらいに着くところだ。
瀬菜「えへへ、みんな私を見上げているね」
「本当にすごい伸びたな」
瀬菜「にいちゃんにもきっと超えられるよ!」
「そ、そうかもな…」
もしかして明日はもう…そう考えるとちょっと興奮してしまう。
莉菜「お兄ちゃん、いる?あ、あった!」
そこで、空から声が聞こえた、それは紛れもなく莉菜のもので、空を見上げていれば、莉菜の大きな顔が見える。
「莉菜か」
莉菜「なんか反応薄いね。あ、そのことじゃなくて、ちょっとこっちにきて」
そう言って莉菜は宇宙サイズ手を伸ばしてきて的確に俺と瀬菜を掴んだ。
瀬菜「こ、これがねえちゃんの手、なの⁉︎」
ちょっと落胆していた瀬菜。大きいのは分かっていても実際に乗せてもらえなければ大きさはわからないものだな。
莉菜「そうだね。えへへ、初めてこんなに近くで見てたのかな。太陽でも私の手の指紋にも満たせないほどだよ、ふふ」
今俺と瀬菜は莉菜の指紋の狭間にいる。莉菜はこちらに見下ろして微笑む。
「で、何か用?」
莉菜「あ、実は、上を見て」
そう言って莉菜は自分の頭のさらに上に指を指した。そして今気づいたけど、莉菜の上にはそれよりもずっと巨大な顔があった。
「え、お、おばさん⁉︎」
それは莉菜の母親であって、俺の父親の再婚の相手だ。分かれているわけじゃないが、行方不明になって、まさかこんなに大きくなってまだ現れた。
アルリ「ふふ、こんなに大きくても私のこと覚えてくれているようね」
その声も、たしかにおばさんの声であっていた。
「ど、どうしてこんなところ、それに、こんなに大きく…」
莉菜でも十分に大きい、それは宇宙自身以外、その中のものは莉菜より大きいものはいなかった。だけど今の莉菜はおばさんの手の中に収まれているくらい小さかった。
おばさん「ふふ、莉菜もついにこんな大きさになったんだから、見つけられたよ。実は私、人間じゃないの、私は宇宙人だよ」
莉菜「それでもママは私の50倍大きいけど」
「う、宇宙人⁉︎」
おばさん「そう、宇宙大の人、宇宙人だ。地球に行ったのは気まぐれでね。縮めていこうとしたけど、人間のサイズが少し間違ってて、普通のより小さくなってたな。それでもあの方は私に惚れてて、まあそれで、わかる?」
瀬菜「え、なになに?」
「子供は知らなくていい!」
もう2m超えの人に向かって子供というのもどうかと思うけど。やはりまずい気がした。
「そ、それで莉菜も宇宙人と人間のハーフ、なのか⁉︎」
アリル「うん、そうだよ。それで、宇宙人は4歳になったら、成長させるために特製のミルクを飲ませて成長させるから。莉菜、覚えてる?」
莉菜「ミルク?ええと…あ、そうだ!私が成長し始めた前の日、家の棚に置いてあったミルクを飲んでた。だからこんなに成長したの⁉︎」
アリル「そうだよ。あれは私がこっそり置いたの。莉菜にもそろそろ宇宙サイズに成長してもらう頃だからね」
瀬菜「成長させるミルク!私も飲みたい!」
成長と聞いて瀬菜は食い込んでいた。
アリル「瀬菜ちゃんにもあげたよ?」
「あ、だから瀬菜もこんなに早く育ったってわけか」
もうびっくりさせて、宇宙人なら納得がついた、普通の人間がこんなに早く大きく成長してたのはやはりどうも信じられないよな。
瀬菜「え、どこ?」
けどそのことについて瀬菜は心当たりがないようだ。
アリル「え?たしかにあげたような…瀬菜のお母さんって普通の人間なのに人間サイズの私よえい低いから、瀬菜にはそんな苦労させないと思って前日こっそり家に置いたはずだよ」
「前日?いつ?」
アリル「地球の時間なら二日前かな」
「瀬菜はうちにいた…」
アリル「あ、そうなんだ。でも、今まだ飲んでいないなら、もう消えたかも…」
瀬菜「え、ど、どうして⁉︎」
アリル「あれは人間の産物じゃないから、ほかの人に見つかったらまずいから1日過ぎたら自動消滅になっているよ」
瀬菜「そんな、まだいないの?」
莉菜「もしかして、瀬菜ちゃんも成長したいの?」
瀬菜「うんうん!私もねえちゃんみたいに大きくなりたい!」
やはりこんなに大きい莉菜を見ても、瀬菜は諦めないか、むしろ決意が強まったようだ。
アリル「それは、無理かもね」
瀬菜「え、な、なんで⁉︎」
アリル「私の知る限りじゃ、瀬菜のお母さんは普通の人間だし、宇宙人の遺伝子が全く持っていない瀬菜には、ここまで成長することは不可能よ。ミルクをあげるのは、ただ普通の人間の身長くらいになるだろうと思ってあげてたよ」
瀬菜「え、そ、そんな…」
瀬菜のお母さんは普通の人間、瀬菜はその特製ミルクを飲んでいない、じゃあ…
「え、じゃあ、なんで瀬菜がこんなに伸びたの?」
その謎に対して、誰も答えることができなかった。
瀬菜:身長:227m 体重:137.22kg
莉菜:身長:9.07×10^11光年 体重:9.27×10^80t 一秒ごとに257,199,732光年伸びる

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