9月 14, 2020 **日

十二日目

「秒で成長する速度ですら地球の直径の20倍近いなんて、すごい」

瀬菜「えへへ」

にいちゃんに褒められた。もちろん嬉しいけど。どうしてか、ちょっと物足りないと感じた。

私はこんなにも大きく、昔なら想像すらしないし、できないような大きさだというのに、今はこの大きさが満足できない。こんなに早く成長できているのに、それが遅いと感じる。

もっと、もっと、私は大きくなりたい。

とてもとても遠くにいるねえちゃんを見る。私は彼女の乳首よりもずっとずっと小さい。自分の小ささが悔しい。

莉菜「ふんふん、私はもっと大きいよ。秒で成長する速度は光年にも上回るからね」

瀬菜「私だって、もっと早く成長できるもん!」

莉菜「それができるかな、ふふ。え、あれ?」

そこで異変が起きた。私の視界にいるものは次々と小さくなっていく。今までもそうだけど、それとは比べ物にならないほど、今ははっきりわかる、私は大きくなっている。

「せ、瀬菜、何が起きてるの⁉︎」

瀬菜「私、大きくなってる、本当だ!にいちゃん、私、まだまだ大きくなるよ!」

「そんなのわかってるよ!」

何もかも小さくなっていく。太陽は目を凝らさないと見つけられないほど小さくなっていた。

太陽系も、いつのまにか私の乳輪と比べても小さい輪となっていた。

瀬菜「これが銀河なの?大きいね、あ、もう超えちゃった。ふふ、銀河も私の成長には及ばないね」

「い、一体何が起きている⁉︎」

にいちゃんは何やら慌てているようだけど、そんなに驚くことかな、ねえちゃんはもっと大きいのに。

そうだ、ねえちゃんはとてもとても大きい、そんなねえちゃんを憧れて、私は今の大きさび不満を覚えた、もっと大きくなりたい、もっとだ。

瀬菜「あ、これが宇宙なんだ、すごいね。でも、すぐに超えちゃったね」

一体どれくらい大きくなったかはわからないけど、まだだ、こんなに大きくても、ねえちゃんはもっと大きい。

莉菜「え、ど、どういうこと。瀬菜がどんどんはっきりと見えて来る。それに、もう宇宙よりも大きいよね」

宇宙を超えてから、無数の宇宙が見えて来る、こんなに多いんだ。宇宙の中にいる時は全然気づけなかった。私はあんなちっぽけなものの中にいるのね、あ、もうちっぽけすぎてみえなくなちゃった。

もうすぐだ、ねえちゃんの乳首と同じくらい大きくなった。もうすぐで、届く。

莉菜「瀬菜、こんなに…」

瀬菜「やっとねえちゃんと同じ大きさになっちゃったね」

莉菜「そ、そんな、私は四十日以上もかかったのに、十二日でここまで…」

瀬菜「だって、ねえちゃんみたいに大きくなりたいだもん。ふふ、こうしてみると、ねえちゃんもそんなに大きくないよね」

莉菜「ま、まだ成長してる⁉︎」

そう、ねえちゃんに届いていても、私は感じた、もっと大きくなれる、と。

ずっと見上げていたねえちゃんがどんどん小さくなっていく。

瀬菜「ふふ、ねえちゃんは私の乳首よりも小さくなってるね。心細いになると思うから私の乳首に置いてあげるね」

莉菜「お、大きい…この私がこんなに小さく見えるなんて」

瀬菜「ふふ、まだだよねえちゃん、もっと、大きくなるんだから」

それからまだまだ大きく、私は成長し続けた。

瀬菜「今はこれくらいかな」

莉菜「っく、ここが乳腺か、広すぎて四周のかべすら見えない」

瀬菜「ねえちゃんにとって私の乳腺でさえ宇宙より大きいよね」

瀬菜:身長:7.46×10^43光年 一秒ごとに6.11×10^41光年伸びる

早苗:身長:3188320km 体重:4.22×10^29一秒ごとに3225km伸びる

莉菜:身長:1.81×10^20光年 一秒ごとに3.21×10^18光年伸びる

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