「秒で成長する速度ですら地球の直径の20倍近いなんて、すごい」
瀬菜「えへへ」
にいちゃんに褒められた。もちろん嬉しいけど。どうしてか、ちょっと物足りないと感じた。
私はこんなにも大きく、昔なら想像すらしないし、できないような大きさだというのに、今はこの大きさが満足できない。こんなに早く成長できているのに、それが遅いと感じる。
もっと、もっと、私は大きくなりたい。
とてもとても遠くにいるねえちゃんを見る。私は彼女の乳首よりもずっとずっと小さい。自分の小ささが悔しい。
莉菜「ふんふん、私はもっと大きいよ。秒で成長する速度は光年にも上回るからね」
瀬菜「私だって、もっと早く成長できるもん!」
莉菜「それができるかな、ふふ。え、あれ?」
そこで異変が起きた。私の視界にいるものは次々と小さくなっていく。今までもそうだけど、それとは比べ物にならないほど、今ははっきりわかる、私は大きくなっている。
「せ、瀬菜、何が起きてるの⁉︎」
瀬菜「私、大きくなってる、本当だ!にいちゃん、私、まだまだ大きくなるよ!」
「そんなのわかってるよ!」
何もかも小さくなっていく。太陽は目を凝らさないと見つけられないほど小さくなっていた。
太陽系も、いつのまにか私の乳輪と比べても小さい輪となっていた。
瀬菜「これが銀河なの?大きいね、あ、もう超えちゃった。ふふ、銀河も私の成長には及ばないね」
「い、一体何が起きている⁉︎」
にいちゃんは何やら慌てているようだけど、そんなに驚くことかな、ねえちゃんはもっと大きいのに。
そうだ、ねえちゃんはとてもとても大きい、そんなねえちゃんを憧れて、私は今の大きさび不満を覚えた、もっと大きくなりたい、もっとだ。
瀬菜「あ、これが宇宙なんだ、すごいね。でも、すぐに超えちゃったね」
一体どれくらい大きくなったかはわからないけど、まだだ、こんなに大きくても、ねえちゃんはもっと大きい。
莉菜「え、ど、どういうこと。瀬菜がどんどんはっきりと見えて来る。それに、もう宇宙よりも大きいよね」
宇宙を超えてから、無数の宇宙が見えて来る、こんなに多いんだ。宇宙の中にいる時は全然気づけなかった。私はあんなちっぽけなものの中にいるのね、あ、もうちっぽけすぎてみえなくなちゃった。
もうすぐだ、ねえちゃんの乳首と同じくらい大きくなった。もうすぐで、届く。
莉菜「瀬菜、こんなに…」
瀬菜「やっとねえちゃんと同じ大きさになっちゃったね」
莉菜「そ、そんな、私は四十日以上もかかったのに、十二日でここまで…」
瀬菜「だって、ねえちゃんみたいに大きくなりたいだもん。ふふ、こうしてみると、ねえちゃんもそんなに大きくないよね」
莉菜「ま、まだ成長してる⁉︎」
そう、ねえちゃんに届いていても、私は感じた、もっと大きくなれる、と。
ずっと見上げていたねえちゃんがどんどん小さくなっていく。
瀬菜「ふふ、ねえちゃんは私の乳首よりも小さくなってるね。心細いになると思うから私の乳首に置いてあげるね」
莉菜「お、大きい…この私がこんなに小さく見えるなんて」
瀬菜「ふふ、まだだよねえちゃん、もっと、大きくなるんだから」
それからまだまだ大きく、私は成長し続けた。
瀬菜「今はこれくらいかな」
莉菜「っく、ここが乳腺か、広すぎて四周のかべすら見えない」
瀬菜「ねえちゃんにとって私の乳腺でさえ宇宙より大きいよね」
瀬菜:身長:7.46×10^43光年 一秒ごとに6.11×10^41光年伸びる
早苗:身長:3188320km 体重:4.22×10^29一秒ごとに3225km伸びる
莉菜:身長:1.81×10^20光年 一秒ごとに3.21×10^18光年伸びる