5月 01, 2020 **日

はじまり

瀬菜「あ、にいちゃんだ!」
「お、瀬菜じゃないか」
昨日のあれを経て、莉菜に手伝ってもらって俺は久しぶりに地球に戻った。
今でも成長し続けている莉菜だが、もうサイズが離れすぎていて、むしろこんな粒とさえ言えない地球は莉菜には目にも入らないくらいだ。
ずっと莉菜の体の上で住むと言うわけにも行かない、ためにはと家に帰ってきたのだが、ドアがノックされて、開いてみると、妹の瀬菜がいた。
顔は莉菜と少し似ていて、どっちも可愛い。だけど瀬菜はまだ3歳になったばかりで幼稚園にもまだ入っていない、莉菜よりも一つ年下、それに成長は前の莉菜より遅く、今でも57cmしかない。生まれたときもほかの子供より小さい、そのうえで今までもそれほど成長していなかった。
これも遺伝のせいかもしれないと思う、彼女の母親も130cmしかないから。なんでうちのお父さんは低い女ばかり狙ってるのか。
莉菜も俺の妹だけど、瀬菜はもう一つの母から生まれてきた子供で、だからこっちも妹だった。うちに住んでいないけどよく遊んで来ている、数週間泊まりに来ていることも少なくない、彼女にとってここはもう一つの家だ。そういえば最近は来ていないよな。いろいろがありすぎて時間があっという間に過ぎていた気がした。
瀬菜「にいちゃんはやはり高いね!あ、ねえちゃんは、ねえちゃんは⁉︎テレビで見たの、すっごく大きくなったって」
「ねえちゃん…莉菜か、ねえちゃんは空の上にいるよ」
瀬菜「え、空?なになに」
そう言って瀬菜は家の外に駆けつけて空を見上げるけど、当然莉菜は見えない。遠すぎるから。
「ん…そうだな。じゃあちょっと呼んでみるかな。おい、莉菜!」
そんなに大声ではないが、それでも俺は莉菜が聞こえてくれると確信を持っている。そしてすぐに空の上いっぱいに、莉菜の顔が出てきた。
莉菜「お兄ちゃん?あ、瀬菜ちゃん!」
まずは俺を見つけた莉菜は、すぐに隣の瀬菜も見つけた。
瀬菜「あ、本当にねえちゃんだ!こんなに大きいのか!」
莉菜「えへへ、ねえちゃんだよ〜」
褒められてうれしいのか、莉菜は勝ち誇って見せた。
瀬菜「ねえちゃん本当にすっごく大きいね!私もこんな大きくなれるかな」
瀬菜は背が小さいから、ずっと大きくなりたかっただろう。普段でもよく聞かされてるからよくわかる。
莉菜「ふふ、それなら瀬菜は頑張らないとね」
瀬菜「うん!私、頑張る!」
莉菜を見て意気込む瀬菜だが、本当に伸びるなんて、この時はこれぽっちも思っていなかった。たとえ莉菜のあの成長を見たとしても。
瀬菜:身長:57cm 体重:5.42kg
莉菜:身長:123,772,539光年 体重:1.93×10^70 t 一秒ごとに39,223光年伸びる

SHARE NOW

コメントを残す